撮影向きの一軒家スタジオ~立地編~

 

「どのような家が撮影に使われやすいですか?」

 

これはThehome.の現役オーナーやご自宅を登録希望される方からの群を抜いて多い質問。

「使われやすい家」の傾向に触れる前に大切な要素があります。それは「立地」
スタジオ映えする家を建てても周辺環境に依って最終ロケ地に選ばれる確率が変わってきます。

といってもどのような撮影規模かにも依るので以下のようなよくある条件を設定しました。
「一軒家 ムービー撮影 カメラ2台 照明内外部で5台 スタッフ総勢40名 関係車両計6台 」

● 搬入経路と置き場スペースの確保

・自宅敷地内、自宅駐車場、近隣コインパーク、場合に依っては近隣住宅の敷地を借りる場合もあります。まず車の駐車スペースは必須となります。

・駐車した車両から直接家の中に運ぶ荷物と、車両からは降ろすが家には入れずスペースを確保して置いておく荷物があります。前者は制作部、撮影部、美術部、メイク道具一式などで、後者は照明部の場合が多いです。

・敷地が広い家にはこの照明機材を置くスペースが有りますが、Thehome.の中でも数えるほどです。なので自宅駐車場は荷下ろしした後に機材置き場として利用されることが多いです。

・建物の外から照明を当てたり、足場を組んで幕を掛けたりすることも珍しくありません。広くて大きな建物サイズは理想ですが、建物の外周又は庭などのスペースも広いと撮影がスムーズに進行します。

・搬入あるある その1
照明機材はカーゴに入れたまま車両から降ろしてスペースに溜めるか移動させます。移動の場合は多少の距離であれば目的地と車両を往復しますが、階段や急な坂道は敬遠されます。

・搬入あるある その2
駐車スペースが広くない場合は、駐車して荷下ろしする順番を守らないと一時的に車が集結して、結局路上駐車が増えたり、近隣住民からクレーム入る時があるので制作部と他部署の連携がカギとなります。

● 近隣・周辺環境にも気を配る

・撮影中によく指摘されるのは「音問題」です。機材を搬入する際に出る音、撮影スタッフの声、演技中の声、ミュージックビデオの撮影は一部音出し等が発生する場合もあります。音の程度は人に依って異なりますが、近隣に不快な思いをさせてはいけません。

・他によくある近隣からのクレームを紹介します。「敷地外で喫煙」「照明が眩しい」「ジェネ車から出る匂いが臭い」「駐車場から車が出せない」等々。

・スタジオとしての機能を継続させるのであれば、事前の近隣挨拶は必ず済ませておくべきです。近隣住民からの理解と協力も大事な要素です。

● 都内じゃないと不利なのか

・関東地方の場合、放送局、プロダクション、広告代理店、のほとんどの所在地は東京23区内です。なので同じ仕様で同一料金のスタジオがあれば都内から近いところが有利です。ただし、一軒家、住宅街となると一概に23区内とは云えません。都内から離れていてもそのスタジオにしかない雰囲気や仕様があったり、山や海のロケも含まれるとロケ地優先でスタジオを決めることが多いです。

・一般のハウススタジオは都内が多く撮影しやすいのですが、制作側が飽きてしまうという話はよく訊きます。特に若い監督やクリエイターは繰り返し使うスタジオは敬遠する傾向があるので都内23区以外でも特徴のあるスタジオは支持されます。

・その撮影案件に多忙な俳優・タレント・有名人が含まれている場合は「都内から60分以内」という条件が先行することはよくあります。こういう場合は都内のスタジオ中心に候補が挙がります。

● その他細かいこと

・2階からのベランダ抜けを撮影することがよくあります。これは理想論ですが、目の前にお隣の建物が有るよりも無いほうが良いです。目の前の風景が開けていても電柱と電線が邪魔をする場合があります。スチール撮影は画像処理が出来ますがムービー撮影はそれが出来ません。もし土地から探す場合はこういった点も考慮するとロケ地確定の確率が上がります。

以上のように、立地条件はとても重要です。ただ、外部的環境(道路、駐車スペース、近隣との関係)を変えることはなかなか難しいので、まずは今出来る範囲内の環境づくりを構築していきましょう。